増ちょう剤とはグリースに含まれる化学物質で、グリースを半固体状にする役割を担っています。
また増ちょう剤はグリース成分の5〜20%であり、種類により耐熱性や耐水性、機械安定性などが変わってくる重要な成分です。
したがってグリースを選定する際には、増ちょう剤を確認することが一つの目安となります。
参考までに下記に代表的な増ちょう剤と特徴を表にまとめてみました。
増ちょう剤 | 特徴 |
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カルシウム石けん | 常用60℃まで、耐水性良好、せん断安定性は悪い |
ナトリウム石けん | 常用100℃まで、耐水性不良、長繊維のものはせん断安定性は不良 |
リチウム石けん | 常用120~130℃まで、耐水性良好、せん断安定性良好 |
カルシウムコンプレックス石けん | 滴点260℃以上、硬化する傾向がある |
アルミニウムコンプレックス石けん | 滴点260℃以上、高温で軟化流出の傾向がある |
リチウムコンプレックス石けん | 滴点240℃以上、目立った欠点がない |
ベントン | 滴点がない、せん断安定性は良好、200℃で有機処理剤が分解すると軟化する |
シリカエアロゲル | 耐水性、錆止め性に問題があるが添加剤で改良可能 |
ウレア | 高温安定性良好、油分離も少なく耐水性や酸化安定性も良好、高温で硬化する傾向がある |
PTFE | 耐熱性に非常に優れる、超高温用グリース向け、高価である |
窒化ほうそ | 耐熱性に非常に優れる、超高温用グリース向け、純度や粒径により潤滑性が異なる、高価である |
一般的な機械であれば、リチウム石けんグリース、高温であればカルシウムコンプレックスグリース、アルミニウムコンプレックスグリース、リチウムコンプレックスグリース、ウレアグリース、非常に高温であればPTFEグリースから選定することをお勧めします。